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古事記伝
四十
臣は意美にて、〈後世におん(○○)と訓は、音便に頽れたるにて正しからず、又おんのこ(○○○○)とも訓るは、子と雲ことお添たるなり、〉大(おほ)身の意なり、〈朝倉宮段に、葛城神の顕れ坐るお宇部志意美(うしおみつ)とあるも現大月(うつしおみ)にて、言は同じ、〉さて此は朝廷に仕奉る人お傍より尊みて雲称なり、〈朝廷に仕奉る人なるお以て臣字に書なれども、君に対へて雲臣の意には非ず、君に対へて雲臣は夜都古(やつこ)と雲て、書記などにも然訓り、此事伝七の八十葉にも雲り、然るに夜都古と雲は、たヾ賤き者の如くなりて、後には君臣おも技美夜都古(きみやつこ)とは訓(よま)ずて、伎美意美(きみおみ)訓ことにはなれりけむ、〉