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古事記伝

稲寸(いなき)は、多くは、稲置と書り、〈置は於伎(おき)の於(お)お省て取れり、日置玉置(ひきたまき)などの例なり、〉何れも借字なるべし、名義いまだ思得ず、伎(き)は君(き)なるべし、書紀成務巻、五年国郡に立造長(みやつこ)、県邑置稲置(いなき)、また孝徳巻に国〈の〉造、伴〈の〉造、県〈の〉稲置などもあり、さて然国々に在て其趣相似たる中にも、国〈の〉造、県主、君、直稲寸などヽ色々に分れたること、其所由も高下も、今こと〴〵く委曲には弁へがたし、