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倭訓栞
前編四十五/於
おびと 私記に、忌部首読於比止と見ゆ、おぶとは不正、允恭紀に首(おひと)也不忘矣とあるは、対ふ人お尊みていへる也、景行紀に邑之勿首とあるは、首長の意也、三代実録に大人てふよしの文あり、さればおぼびとの仮名也、おびとヽいふは、おほひとのほひ約ひなればなり、そお後におふとヽ唱ふるは、其ひお夫に転ぜる也、誤ならねど転々の語もて神代紀お訓べからねば、此紀にてはおひとヽ訓べし、是も外の略ながら大お於と雲は古例ある也、