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標註職原抄別記

天武の御代の制、真人第一、朝臣第二にて、皇族に真人お賜ひ、貴族に朝臣お賜ひしに、拾芥抄に載たる次序お見れば、いつしか第一お朝臣とし、第二お真人とせり、源藤お始め、皇族も貴族も多く朝臣なるからに、次序お換たるものなるべし、されば後世といへども、かくの如く姓にも尊卑の別おせぬにはあらねど.まづは姓はたヾ氏に属るのみのものとなれるゆえに、氏にひかれて藤源などの尸(かばね)はおのづから奪とく、其外の尸はおのづから卑くなれるなるべし、