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玄同放言
三上
姓名称謂
按ずるに、拾芥抄〈中巻之上〉無尸姓と題したる、五十六氏の中に、天神地祇天孫といふ姓あるは、こヽろ得がたし、こは実熙公、ゆくりなく姓氏録の神系お見損じ玉へる歟、何となれば、姓氏録に、神別と題せしは、神世より別れたる姓氏なり、その神別にも、天神より別れたるあり、地祇より別れたるあり、天孫より別れたるあり、〈○中略〉この外に天神地祇天孫といふ姓氏あることお聞ず、かばねと姓は異なるものにしたまひしと、天神地祇天孫お姓なりと見玉ひしは、またく千慮の一失にもやおはすべからん、