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栄花物語
二/花山
大殿〈○藤原兼道〉おぼすやう、世の中もはかなきに、いかでこの右大臣、〈○藤原頼忠〉いますこしなしあげて、わがかはりのそくおもゆづらんと覚したちて、たヾいまの左大臣兼明のおとヾときこゆる、延喜のみかど〈○醍醐〉の御十六の宮におはします、それ御心ちなやましげならどきこしめして、もとのみこになしたてまつらせ給ひつ(○○○○○○○○○○○○○○○○○)、さて左大臣には、小野宮の頼忠のおとヾおなしたてまつり給ひつ、