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源平盛衰記
二十
八牧夜討事
此に当国〈○伊豆〉住人に、加藤太光胤、加藤次景廉とて、兄弟二人あり、是は、
都おば霞と共に出しかど秋風ぞ吹白川のせき
と雲秀歌読たりし、能因〈○橘氏〉入道には四代の孫子也、彼能因が子息に、月並の蔵人と雲ける者、伊勢国に下て、柳の馬入道が婿に成て儲たりし子お、加藤五景貞と雲き、後には使宜お蒙て、加藤判官とぞ雲ける、其子共也ければ、加藤太、加藤次と雲、