[p.0285]
標註職原抄別記

此京家より氏爵お請へる文なり、京家は左京大夫麻呂の後なり、麻呂は宇合の弟にて、淡海公〈○藤原不比等〉の四男なり、〈麻呂また藤原氏の別族にて、その官左京大夫なりしゆえに京家といふ〉、季永その子孫として、父泰俊、爵お賜はれる後、漸く三十余年に及て、今春の運、既にその巡に当たれば、従五位下に叙せむ事お請へるものなり、これらの状共お長者の許に取集め、理にかなへるお奏して叙せらるヽ也、さるは六位以下は、卑位なるゆえに、重お承け、祭お行ふも先祖の為おもてぶせなれば、五位以上にのぼり、氏系おして絶ざらしめ、氏族おして貴からしめむとてなりけり、