[p.0291]
袖中抄
十九
一ものヽふのやそうぢがは
ものヽふのやそ宇治河のあじろ木にいざよふ波の行えしらずも
顕昭雲、ものヽふとは、人の総名也、人の姓はおほかれば、八十氏といふ也、百姓といふもおほかる数也、八十といふは、陰の数の満也、是お略して、ものヽふといはねど、やそうぢ人ともいふ也、〈○中略〉
思ひやれやそうぢ人(○○○○○)の君がためひとつ心にいのるいのりお、私雲、人の姓八十ありとさだむべからず、たヾおほかるおやそうぢといふ也、