[p.0292]
陰徳太平記

大友先祖事
其比豊後国に於て、大友義鑑、権威お振ひける間、九州の諸士、彼が号令お不受は無りけり、其先祖お尋るに、左近将 〓能直お大祖とす、彼能直は、右大将頼朝卿の御子息にてぞ有ける、頼朝卿、刀禰の大友四郎大夫経家が女お妾として、刀禰の局と称せられ、男子一人誕生しけるお、一法師と号し、斎院次官親能に賜つて養子とす、是は経家が室と親能が室とは、兄弟なるに因て也、されば経家は平氏、親能は藤氏也、頼朝卿の源氏に合せてぞ、世には大友三姓(○○○○)とは称しける、