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続世継
四/ふしみの雪のあした
大将殿〈○藤原頼通長子通房〉のほかのきみたちは大殿〈○頼通次子師実〉のひとつ御はヽにおはしましき、ふしみのすりのかみとしつなときこえし人も、ひとつ御はらにおはしき、その御母は〈祇子〉贈二位讃岐守としとほと、あひぐしたまへりければ、としつなのきみ、御こにでおはしけれど、けさやかならぬほどなりければにや、なほとしほのぬしの子の定にて、たちばなのとしつなとてぞおはせし、のちになほ殿の御子とて、藤原になりたまひき、