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吾妻鏡
三十二
直冬上洛事附鬼丸鬼切事
河内国高南安の里より頼光の母儀おはして、〈○中略〉我右の手の臂より切られたるお差出して、是は我手にて候けると雲て差合、忽に長二丈計なる牛鬼と成て、酌に立たりける網〈○辺渡氏〉お、左の手に作提、頼光に走懸ける、頼光件の大刀お抜て、牛鬼の頭おかけず切て落す、〈○中略〉其形は尚破風より飛出て遥の天に上りけり、今に至るまで、渡辺党(○○○)の家作に破風おせざるは此故也、