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日用重宝記

名字俗名の事
俗間今名字と雲ものは、中興の祖、居地の所名お名字とし、在名多ければよめ難るあり、たとへば木曾街道お行ば、信州に薮原(やごはら)の駅あり、やぶはらと読べき字なれども、やごはらごいはざれば、所の通用なし、よみ誤お知ながら、用便にまかす、此類何程もあるべし、唯難字の分のみお一つ二つしるす、〈難字になくとも、字はしれて、よみまぎらはしき分計出す、〉
忌寸(いみき) 忌部(いんべ) 伊秩(いづゝ) 伊香(いかこ) 伊自良(いじら) 一口(いもあらひ) 一万田(いちまた) 一風迫(いちのはざま) 一戸(いちのへ) 一噌(いつそう) 今城(いまき) 今治(いまはり) 新(いま)比叡(ひえ) 櫟原(いちはら) 諫早(いさはや) 家所(いへどころ) 揖斐(いび)〈えびと誤り呼〉 五十字(いかご) 五百籠(いおろひ) 射越(いのこし) 印貝(いそがひ) 土師(はじ) 土生(はぶ) 祝部(はふりべ) 榛沢(はんさは) 塀和(はが) 頓宮(はやみ) 纐纈(はなぶさ) 安口(はたかす) 喰代(はふじろ) 番長(はお) 波々伯(はゝかべ) 埴生(はにふ) 馬喰田(はゞた) 円 〓(はうしやう)〈則宝生也〉 麓(はやな)間(はざま) 間人(はしうど) 確(はなは) 初鹿(はじか) 見田(はんだ) 薤山(にらやま) 錦織(にしごり) 西大音(にしもりない) 西牟田(にしむた) 新納(にひろ) 入戸野(につとの) 壬生(にふ)〈野州摂州の地名は、みぶと訓、〉 釈迦牟尼仏(にぐるべ)〈丹波の地名〉 贄(にえ) 千屋(ほんや) 秀真(ほづま) 秀実(ほづみ) 八月朔日(ほづみ) 平群(へぐり) 戸次(べつき) 日置(へき) 綣村(へそむら) 背評(へこほり) 徳山(とこのやま)〈今とくの山と雲〉 富樫(とがし) 豊浦(とよら) 得重(とくへ) 百々(とゞ) 都甲(とかぶ) 十時(とき) 利根(とね) 等々力(どゞろき) 敏馬(としま) 問協(とが)〈又門協とも〉 神当(とんだ) 跡見(とみ) 井石(とんぶり) 鞆(とも) 千役湊(ちぶりのみなと) 千夫(ちぶり) 長南(ちやうなん) 温井(ぬくい) 額田(ぬかだ) 沼間(ぬま) 沼垂(ぬたり) 怒借屋(ぬかりや) 札(ぬき) 臣(おんのこ) 小槻(おつき) 小俣(おまた) 小宅(おやけ) 小車梅(おぐるめ) 小柳筒(おやいづ) 岡宅(おいやけ) 愛宕(おだき) 飯富(おふ) 息長(おきなが) 麻殖(おえ) 度会(わたらひ)吾河(わがは) 藁科(わらしな) 十八女(わかいろ) 宣(わたり) 四月朔日(わたぬき) 神去(かみき) 神主(かうす) 神三郡(かみくに) 神門(かうど) 神足(かうだり) 神丸(かんまる) 開田(かいでん) 印(かね)牧(まき) 香美(かゞみ) 香母(かうも) 上林(かんばやし) 上遠野(かどおの) 上有智(かうづち) 鶏冠(かえで) 風吉(かざきく) 川鰭(かははだ) 葛野(かどの) 可児(かこ) 交野(かたの) 甲良(かはら)賀来(かく) 各務(かゞみ) 蕪坂(かぶらざか) 春遂(はるかた) 春部(かすべ) 門真(かまど) 唐牛(からうし) 掃守(かんもり) 膳部(かしはで) 戒重(かいぢう) 戒能(かいのう) 歌枕(かづらき) 鹿伏兎(かぶと)〈にんべとも訓有〉 梯(かけはし) 十七夜(かなふ) 余語(よご) 依網(よさみ) 与謝(よざ) 妙見(よしみ) 丁野(よぼの) 丁子(よぼろこ) 四十住(よずみ) 丹比(たぢひ) 高階(たかしな) 高任(たかたふ) 玉置(たまき) 団(だん) 多芸(だぎ) 多治比(たぢみ) 田母神(たのかみ) 田麦俣(たもんまた) 小鳥遊(たかなし) 日日(たちどり)〈朔日晦日の義にや〉 副田(そよた) 十河(そがう) 素(そ)曾(そ) 都築(つづき) 柘植(つげ) 十字(つじ) 綴(つゞき) 子子子(ねこし) 中吉(なかきり) 納所(なそ) 長砂(ながすな) 長狭(ながさ) 楢下(ならげ) 滑川(なめりかは) 行方(なめかた) 随分(なぶさ)附(づけ) 楽世(らせ) 宗像(むなかた) 八道(むさし) 陸路(むつろ) 人首(むす) 牟礼(むれ) 鉾久(むく) 打宅(うた) 生形(うぶかた) 有動(うどつ) 碓氷(うすひ) 臼杵(うすき) 海上(うながみ) 浮穴(うけな) 牛奥(うしおく) 殖月(うえつき) 善知鳥(うとう) 漆間(うるしま) 野辺(のんべ) 野一色(のいしき) 大仏(おさらぎ) 大角集(おとづめ) 凡河内(おうしかうち)〈おほちは、かた言也、今は大河内と称す、〉 巨鹿(おほが) 生長(おいさき) 多門(おかど) 乙訓(おとぐに) 印具(おしずみ) 及川(おいかは) 石生(おしこ) 下石(おろし) 種田(おいだ) 老馬(おんま) 辺分(おいわけ) 十二仏(おちふるひ)饒石川(おいしかは) 久地楽(くぢら) 百済(くだら) 栗殻谷(くりからだに) 栗栖(くるす) 日下(くさか) 日下部(くさかべ) 草叢(くさむら) 朽網(くたみ) 真継(くれき) 功力(くぬき) 神代(くましろ)〈神稲とも〉 七寸五分(くつわた) 坂戸(くわんぜ)〈観世なり〉 榑(くれ) 山家(やんべ) 月見里(やまなし) 安福(やすかべ) 八祐(やけし) 八国生(やこふ) 薮原(やごはら)〈信州の方言〉 真神(まがみ)真崎()まがさき 曲直瀬(まなぜ) 猿尾(ましお) 松任(まつたふ) 万里小路(までのこうぢ) 益城(ますき) 魚井(まない) 馬渡(まふたり) 結解(けつげ) 剣持(けんもち) 儀俄(けが) 祈答院(けだふいん)検見川(けみがは) 文室(ふんや)〈ふんおすみてよむべし〉 福富(ふくとみ) 久我(こが) 近衛(このえ) 惟任(これたふ) 誉田(こんだ) 木作(こづくり) 許斐(このみ) 来臨(ころも) 牛糞(ごこえ) 五大院(ごだい) 五器所(ごきそ) 五間(ごかん) 小長谷(こながや) 小早川(こばやかは) 外山(こんはる)〈金春なり〉 結崎(こんごう)〈金剛なり〉 金万(こんまん) 狛(こま) 狛人(こまうど) 穎娃(えの) 塩冶(えんや) 勅使河原(てしかはら) 朝米(あさこ) 飛鳥井(あすかい) 有栖川(ありすがは) 安曇(あづみ) 安宅(あたぎ)〈加州の地名は、あたか、〉 足利(あしかゞ) 下米宮(あめのみや) 阿子島(あごしま)赤埴(あかはに) 粟飯原(あひばら) 飽浦(あくら) 旭(あさひ) 愛甲(あいかは) 秋鹿(あいか) 饗庭(あひば) 畦籠(あぜくら) 渥美(あつみ) 英保(あほ) 蘆室(あしや) 青襲(あおそひ) 県(あがた) 漢部(あやべ)漢人(あやんど) 漢主(あやぬし) 吾孫子(あびこ) 佐海(さみ) 向坂(さぎさか)〈勾坂お正とす〉 寒川(さんかは) 五月女(さおとめ) 三枝(さいぐさ) 雑賀(さいが) 猨山(さやま) 雀部(さヾきべ) 鷦鷯(さヾき) 彭城(さかき) 鮭延(さけのぶ) 教務石(きやうらいし) 北(きたばしり) 岐蘇(きそ)〈木曾とも〉 著座(きませ) 来海(きまち) 行明(ぎやうめい) 城所(きどころ) 競(きほひ) 私市(きさいち) 纐纈(きくとち) 米多比(めたひ) 和布刈(めかり) 夫婦木(めおとぎ) 氈受(めんじよう)〈又毛受とも〉 毛馬(めんま) 女鹿(めが) 宮道(みやぢ) 三善(みよし) 三池(みけ) 三宅(みやけ) 三谷(みや) 三幣(みぬき)御講(みこう) 御宿(みしゆく) 御子左(みこひだり) 御子神(みこがみ) 御手洗(みたらひ) 癸生川(みふかは) 水口( みなぐち) 明珍(みやうちん) 箕曲(みのお) 瓶尻(みかじり) 身人部(むとべ) 満王野(みおのや) 椹(みづき) 信太(しだ) 信夫(しのぶ) 信楽(しがらき) 階戸(しなと) 設楽(したら) 宍戸(しヽど) 宍草(しヽぐさ) 宍粟(しヽざは) 執行(しつかう) 委支(しとり) 榛葉(しんえふ) 七五(しめ)三 神在(じんざい) 神宮司(しんぐじ) 四至内(しヽうち) 四戸(しのへ) 春藤(しゆんどう) 春日(しゆんにち) 塩飽(しあく) 新発田(しばた) 新納(しいう)〈にいろとも〉 下斗女(しもどめ) 下間(しもつま) 日向(ひなた) 日夜(ひぐらし) 日夏(ひなつ) 日出山(ひじやま) 比企(ひき) 土方(ひぢかた) 仁杉(ひとすぎ) 枚方(ひらかた)〈牧にあらず、木へん也、〉 兵主(ひやうず) 画飯(ひるひ) 極月晦(ひなし) 百元(もヽと) 最上(もがみ) 方代(もず) 物集女(もづめ) 十(もきゞ) 妹尾(せのお) 迫田(せりた) 東海林(せうじ) 鷲見(すみ) 砂金(すなご) 勝(すぐる)〈此一字、かつと訓名字もあり、〉 集堂(すだう) 酒々井(すヽい) 周参見(すまみ) 陶(すえ) 村主(すぐり) 下濃(すそご) 墨脵(すのまた) 角南(みなみ) 首藤(すとう)