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総見記

織田氏家伝事
其家伝お尋ね見るに、信長より十八代の先祖、権大夫平親実と雲人、始め江州津田の郷に住せられしが、其後越前の国織田の庄に移り、織田大明神の神職となる、後に出家して覚盛と号す、是則当氏織田の曩祖也、〈○中略〉或時彼武衛〈○源高経〉の末孫織田大明神へ参詣の時、親実の曾孫も当社の神職にて出迎たりけるに、其時の神職の子息某と雲才器利発にして他に異なる児に見えしかば、武衛是お愛し武士にして召仕はれけり、即ち在名お称して織田氏となし給へり、