諸家系図纂

二十四/越智

一柳譜〈越智姓〉
伊豆守直未公、五代目前之御祖父は、本国伊予国之御住人、則河野殿御末之由、然共如何成子細之御座候哉、予州迄御牢人被成、上方へ御上、それより美濃国所縁有之由にて、被為越岐阜、近所之西野村と申所に、かりに被成御座候由、其時迄も御名字、河野御名乗候由、其時代美濃一国之主は、土岐殿と申候由、其時河野殿、或人お御たのみ被成、取次お以、土岐殿へ御出入被成候由、土岐殿も、河野は古の系図侍と被仰、常々御敬ひ、詞にても懇に被仰候由、然共河野殿は、今時あさましき牢人の身として、河野の名字おけがさんも、不入儀と思召候故、土岐殿へ御出仕の折節は、某にも名字お御かへ被下候様にと被仰上候由、然共此儀さして御承引無之由、亦有時、土岐殿、鞠おけさせ、御見物候折節、河野被仰分は、折々申上、私名字之儀は、如何被成被下候との御事候へば、土岐殿、毯のかヽりに柳お植置候て有之お御覧被成、其方に名字お附替候はんと存候得共、河野に附替可申名字無之、幸此所柳一本有之問、一の柳おかたどり、一柳と名乗可替と御申候へば、河野殿、忝と被仰、其より一柳お御名乗被成候由承申候、