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南留別志

一入道したるものヽ、姓氏お名のる事はなき事なり、入道は僧なるゆえ、官も僧官なり、国初の頃までは、医師の苗字おのぞきたるなり、完永の頃より、苗字おいひいで、元禄の頃よりは、院号も苗字おつけて名のる、大かたは玄関につめたる、文盲男に問ひつめられたるより、名乗初めたるなるべし、