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病間長語

姓お修することは、古もありと見えたり、文琳菅三など称したるお見て知るべし、複姓もその儘に用て、見苦からぬもあれども、あまり不雅なるは、辞お修する上からは、これも修したきは人情なり、然ども実録伝記に用ゆべきにも非ず、太宰氏〈○名純〉などは、他の称する所に拘らず、一概に、三字は三字、四字は四字にせしもきこえたることなり、姓お修するは、あしヽと雲ふは、己の所見にて、他はこの修したるが、我姓なりと雲はヾ、是非なきことなり、かほどのことは、かの当世の公(おほやけ)にて、見遁にしておくも妨あるまじと覚ゆ、