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飛州軍覧記
飛騨国司滅亡之事
国司姉小路(○○○)頼纜朝臣は、小鷹利の城主也、先祖代々公家より出て、当国の国司たり、建武年中、後醍醐天皇、南朝に皇居の時、当州の国司に定め給ふ、四代目にして参議藤原尹纜朝臣は、小島の城に居たり、此国司一国お治て繁栄なれども、南朝の宮方日々に衰て、足利尊氏、天下お奪ふ、然れどもいまだ一統せず、依之暫くは無事なりしといへども、義満の時に至て、〈○中略〉応永十八年八月十三日、小島落城して、国司尹纜おば朝倉の家人井上新兵衛討之、凡国司四代年数八十三年也、