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和気系図
此和気系図は、僧円珍が家の系図なり、おのれ〈○伴信友〉さきに都にありける時、或人の写しもてりときヽて、中人たてヽ、かりてうつしたりき、其本書は、円珍がものなりしお、三井守の唐院の庫にひめおさめてありとぞ、継紙お横に竪ざまに長く書くだしたるが、いとふるび墨きえて、字のさだかならぬところおほきに、紙のくちたるや虫ばみさへありて、見わきがたきお、からくしてまねび模しとれるものなりといふお、つぎ〳〵にうつし伝へたるものなりとぞ、さるは景行天皇の皇子、武国凝別皇子の苗裔のすぢ〳〵お、ひろくつりしるしたれば、古事考ふる証ともなりぬべくおもはるヽに、書ざまさへにめづらしければ、うつしたるなりけり、〈○中略〉
系図 承和初従宅口於円珍所
子皇
次小碓皇子〈○此下皇子皇女省〉
次凝別皇子〈伊予国別君讃岐国父首等始祖〉
纏向日代宮御宇景行天皇〈大足彦忍代別命〉
皇子合廿四柱〈男十七女七〉
子水別命
津守王
子皮奈陋乃別君 真浄別君
次津守別命 和爾乃別命 子阿佐乃別命 子弟子乃別命 手麻呂子乃命之 子尾之〈此人従伊予国到来此土娶友首長女生〉
子忍波 忍 〓之 子止伊 子小上身〈難波長柄朝庭住立帳〉
子足之
次足之
次友口之
次広足之
与呂豆
子道万呂之
子宅成(後得度僧仁徳) 手得度也僧円珍
次福雄
V 政事要略