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川角太閤記

鎌倉被成御見物、則若宮八幡へ御立寄被成侯時、社人御戸お開き申候へば、左りに頼朝の木像あるお御覧付られ、御言葉には、頼朝には天下友達に候よ、〈○中略〉氏系図(○○○)においては、多田の満仲の末葉なり、無残研系図なり、秀吉は恥敷は候へど、存は昨今迄の草刈わらんべなり、或時は草履取など仕候故、氏も系図も持不申侯へど、秀吉は心たまらざる目口かはき故、け様罷成候、御身は天下取筋にて候へば、目口かはき故とは不存候、生れ付果報有故なりと御しやれ事被仰候と承り候、