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折たく柴の記

庚辰の年〈○元禄十三年〉十二月十一日に、国初より此かた、その封禄万石以上の人々の事まで、進講のいとまあらむおり〳〵に、いかにもしるしてまいらせよかしなど仰られしに、明けの年辛巳の正月十一日に、其事お以て仰下さる、向き十四日に、まづ其書お撰ぶべき凡例おしるしてまいらす、しかるべき由お仰下されしかば、これより諸家の事どもたづねきはめて、七月十一日に至て草お起し、十月に至て稿お脱す、車は慶長五年に始りて延宝八年に至る迄八十年の間、始封襲封、及び廃除等、凡三宮三十七家、その書たる正編十巻、附録二巻、凡例目録ともに一巻、通計十三巻お分ちて廿冊となし、みづから浄写功終りぬれば、明る壬午の二月十九日に進呈す、これよりさき書の名おば、御みづから撰び給ひて、藩翰譜と題せらる。