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鳩巣小読

一脇坂淡路守殿、隻今よりは二代も前の人にて候、〈○中略〉此淡路守殿歌人の聞へ有之候、完永年中日光へ系図献上の時分、其身の親父より主まで二代計り書申され、末に一首の歌おそへて納被申候、大猶院様〈○徳川家光〉殊の外御感なされ、其通にて日光へつかはされ候よし、風流のことヽ申伝候由、其歌に、
北南それともしらず紫の由諸ばかりの末のふじ原、藤原の末と被致候はんや、但末の藤原かとて其時分吟味にて究申候、此頃新井氏京都近衛摂政公へ侍お越申に付、殊の外吟味にて、私も相談に入申候、夫に付此咄申され候、