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古史徴
一夏
上世より世人事とある時は、祖の名お顕はし、また其功しかりし事蹟おも称て名告する風俗なること、書等に数しらず記して、至誠なる真心なるお、漢説にいはゆる名利なりなど雲る徒のあるぞ、中々に表方お飾る、かの国風の虚心とこそ思はるれ、〈今の世人も真心なる田舎人などに、むかしの在状なるもあるお、宜しげなる人のさりげなくてあるは、漢意に変化たるなり、また心あるきはの人は、裏は古意なりながら、世のさがのすべなさに慎めるも有べし、〉