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新井家系
家系附録序説
当家の系図、上西入道〈○義重〉以来、累代其世次お親ら記し置れし家譜一軸、〈相伝ふ、此軸法華経一部八巻お一巻になせし程り巻物也と雲ふ、〉並に古来の文書記録、少しの紛失なく、多年兵乱の中に私蔵せしに、十四代昌純の時、享禄年中、横瀬雅楽助が逆謀によりて、昌純生涯に及び、彼一軸お手に携へ、其余記古物共に、一時の灰燼となりぬ、当家陽九の厄、此時に極りしに、程なく和議調りて、昌純が弟卍丸、再び金山の屋形と称せらる、されど先世の書記、隻字も伝はらざりしが、幸に一族西谷が家より.略系一巻お呈せり〈これお古系図と雲〉其後かの系本に拠りて是お修補し、加るに後事お以てして、別に一編お作りて家に蔵む、〈これお巨細系図と雲〉今に於て当家の事実お考へ見るべきもの、才に此二本のみにして、つぶさに歴世の遺美お聞く事お得ず、