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大槐秘抄
よき諸大夫と、あやしのきむだちとは、はるかに絶席したる者にてなん候ける、然るお白河院のおほむ世に、御めのとに顕季卿が子孫おひきあげさせおはしましヽあひだに、なまきんだちは申にも及ばす、つみゆりたる人どもヽ、くびかきつめられて候し故に、いづれもいづれも、たヾ同じ事のいま少しなりよきにて、へしふせられて候なり、然ればひとつにかヽるべき事とはしろしめすまじとおぼゆる事にてなむ候、見し代まで、五節などの殿上の座には、諸大夫は、座およしあるきむだちにはゆづりて、下にこそい候しか、諸大夫の上居このみはじめ候事も、顕李の三位のし出したる事にこそ候めれ、