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山田落穂
昇殿並地下堂上の事
昇殿は清涼殿の殿上おゆるさるヽおいふ、古は今の堂上のごとく、代々家つきにて昇殿することなし、人によりて、昇殿おゆるされしこと、粟田左大臣在衡公、中納言にて始て昇殿おゆるされしこと禁秘御抄に見えたり、古は堂上地下といひしは、今の奥近習なり、端の堂上の如し、たとへば中納言にても、昇殿おゆるされざりし間は、猶地下なり、今の制は、堂上地下と家柄さだまりて、堂上は御元服の節、代々昇殿おゆるされ、地下は一切昇殿することなし、又堂上は、禁裏仙洞おはじめ御車寄より昇降せられ、其余は諸大夫間より昇降するなり、
地下の事
今の制は、堂上の外、両局諸大夫、諸国宮司社家、上階して公卿補任に載せらるといへども、皆地下なり、