[p.0447]
標註職原抄別記

氏長者
加美部(かみべ)は、兄部おふるくこのかくべと訓る、かうべに同じ、さるは兄部は、子の上部の義なるお、子乃(この)の二言お略(はぶ)きて、かうべとのみいふは、即この歌なるかみべにて、うはみの音便なり、但その兄部は、市里にての長者なれど、賤民ゆえに氏なければ、氏乃加宇倍(うぢのかうべ)といはずして、子乃加宇倍(このかうべ)といへるのみ、すべて人お子といふ例は、万葉の歌に見えて、いとふるし、これお以て氏のかうべの長者たるお弁ふべし、