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太平記
二十六
執事兄弟奢侈事
越後守師泰が悪行お伝聞こそ不思議なれ、東山の枝橋と雲所に、山庄お造らんとて、此地の主お誰ぞと間に、北野の長者(○○○○○)菅宰相在登卿の領知也と申ければ、軈て使者お立、此所お可給由お所望しけるに、菅三位使に対面して、枝橋の事御山庄の為に承候上は、子細あるまじきにて候、但当家の父祖代々此地に墳墓おとて、五輪お立、御経お奉納したる地にて候へば、彼墓じるしお他所へ移し候はん程は、御待候べしとぞ返事おしたりける、