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愚管抄

当時氏の長者にて、大二条殿〈○藤原教通〉おはしけるに、延久のころ、氏寺領、国司と相論ごとありけるに、大事に及て御前にて定のありけるに、国司申かたに裁許あらんとしければ、長者の身(○○○○)、面目おうしなふうへに、神慮またはかりがたし、たヾ聖断おあふぐべし、ふして神の告おまつとて、すなはち座おたヽれにけり、藤氏の公卿、舌おまき口おとぢてけり、其後山しな寺に、如本裁許ありければ、衆従さらにまた長講はじめて、国家の御祈しけりと、親経と申中納言儒卿こそ、さいかくの物にてかたりけれ、