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家紋は単に紋とも雲ふ、又其用に従ひて定紋、正紋、本紋、代紋、別紋、添紋、秘紋、裏紋、むだ紋、たヾ紋等の数称あり、抑ゝ家紋は、衣服輿車旗幕等の紋より起りしものにして、一種の標記なり、而して家紋には文字お以てするあり、動植物の象あり、器用の形あり、或は二種以上お配合して、用いるもの等ありて一ならず、諸家各ゝ其紋お定めて、子孫之お襲用す、而して葵は徳川将軍の家紋たるお以て、往時は之お用いることお許さず、菊桐は皇室の御章なるお以て、今に至るまで現に之お禁ぜらる、而して商家店頭の暖簾お始め、其他家屋、若くは商業用の器物等に毎家一定の商標お附することは、産業部の商賈篇に在り、