[p.0514]
謙倉大草紙
憲実〈○上杉〉兄弟も、先祖代々の寺〈○伊豆国国清寺〉なれば、此寺にかくれ、其後船にて西国へ赴、周防国へ行脚あり、援にその頃、中国の大内殿、〈○義興〉威勢お中国九州までふるひける、〈○中略〉憲実入道、此所へ来りけるこそ幸なれと大に喜て、憲実入道お雲洞庵高岩生長棟庵主と称し、長門国深川大寧寺と申、会下寺にうつしおき、馳走渇仰して、則大内殿は、憲実の養子になり、上杉山の内の系図お継、篠の九にまひ雀の幕の紋お請て、憲実お御父とて崇敬限りなし、