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葵御紋考
紀伊殿庶流〈松平左京大夫〉にては、三鍬形お以て、神君〈○徳川家康〉より譲られ給へる御紋也とて、殊に重く取扱はれ、家士といへ共、故なくしては猥に賜はらず、此御紋は、神祖南竜君〈江、国祖頼宣卿、〉御咄の時、或夢に、織田右府、豊臣太閤、予と三人、一席に天下の事務お論ぜし時、各鍬形の兜お著せしかば、女忘るヽ事なかれと、上意より附伝ふる所と雲々、