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倭訓菜
中編二十一/比
ひきりやう 引両と書り、二つ引の事なり、鎌倉若宮八幡の神庫お開きて宝器お見しに、二引両の旗あり、二引両は、足利氏の旗号なり、相伝ふ、是源義家の旗なりとみゆ、義昭将軍の書に、引両筋とも見えたり、二つ引両、三つ引両などは、重ね雲なるべし、一説に、源頼朝卿、石橋山合戦の後、下総国府に至り兵お招く、此時大将の陣営幕なし、千葉介常胤、己が白幕に墨紙お粘して二つ引両とす、此吉例たるにより、引両幕お用らる、