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塵添壒嚢抄

幕紋事
武士の幕紋の中に、文字難知多し、定て字可有歟、物のもんと雲に、文の字お用る常の事也、あやとよむ、あやは即もんなれば、子細無けれ共、委く雲ば、糸篇の紋の字お用べし、物のもんおば織出せるが故にと雲々、抑幕紋事、不可有際限歟、頗荒 〓の至りなれ共、随見及註之、但し桐塔等の易知字おば不及申に、
木瓜(もつかわ) 輪違(わちがへ) 瓜紋(くわのもん) 三鱗形(みついろこがた)〈又 色子方(いろこがた)〉 四目結(よつめゆい) 粼(すはま)〈斯同〉 巴(ともへ) 角巴(つのどもへ) 杏葉(ぎやうよう) 桑穀(かちの)〈或楮〉葉(は) 中黒(なかぐろ)
椶櫚丸(しゆろのまる)〈又椶櫚〉 裙紺(すそご) 引両筋(ひきりやうすぢ) 菱(ひし) 沢潟(おもだか) 松皮菱(まつかはびし) 輪子(りうご)〈又輪鼓〉 鉸具(かこ)〈又 〓具〉 蝶円(てうのまる) 舎(いほり)又廬 直違(すぢかい) 傍折敷(そばおしき) 団扇(うちは)〈又打敷〉 唐傘(からかさ)〈又唐笠〉 帆懸船(ほかけぶね) 菰〈又瓜〉 酢漿(かたばみ) 玳瑁(かめのかう)〈亀甲〉