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北条五代記

小田原北条家旗馬じるしの事
見しは昔、北条氏直公時代、関八州の武士の旗、家々に伝ふる紋おあらはし、さし物は、其身一代にかはると見えたり、おもひ〳〵のさし物、品様々の紋あり、去程に、我指物に似たる紋あれば、他の家中たりといふ共、由来お尋ねとがむる、其上ほまれなくして異様おこのみ、分際に過たる紋のさし物おば、見る人あざける故、身に応じたるおさしたり、