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遠碧軒記N 上/神祇
伊勢内宮の紋は、屋形なり、外宮の紋は車の輪なり、神に紋ある事不審、俗説か、雲不足、祇園天王の紋は、木瓜なり、吉田に六月廿三日に毎年神事なり、其内に木瓜大明神と雲一社あり、此素盞烏尊と雲、されば祇園なるべし、今智恩院の内に、瓜生石と雲石あり、此所が根本牛頭天王の降下の地にて、此石上に一時に瓜のつる出て、瓜なる奇瑞ありたるといふ、それによつて瓜生石と雲、〈○中略〉祇園の木瓜は、きうりの事なり、今はもつくわと心得て、ぼけの事とおもひ、くはの紋お雲ふ、あやまりなり、