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貞丈雑記
五/装束
紋お丸の内に画事、永正年中、立雪斎が画し諸家紋に、紋の外に丸お画たる多く見えたり、家の紋の外に丸お画く事、時により人の好みにもよる事にや、室町殿の紋は、五七の桐にて丸なし、是も諸家紋にみえたり、宗五大双紙に、公方様御腰物は、御目貫、丸の内つぶ桐焼付、又雲、公方様御打刀は、御目貫、前の如く丸に桐やきつけ、又御剣は、御目貫、丸の内桐焼付と見えたり、これおみれば、丸なき紋も、好みによりて丸お用る事もありしなるべし、諸家紋に、島津氏の紋 〓如此なり、何頃より歟、丸の内に、筆勢もなき十文字になりしなり、