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古事記伝
三十九
まづ名は、〈名と雲言の本の意は為(なり)、為とは為りたるさま状お雲、其は常に為人(ひとヽなり)と雲も、為りたる形状と雲事、又物の形お那埋(なり)と雲も同意にて、名と雲も、もと其物のある状なり、○中略〉もと其人のある状〈行状容貌由縁、其外くさ〴〵、〉お賛称て、負(つ)けたる物にて、名お呼は尊みなり、〈其名たとひ賛たる言には非るも、負けたる意は賛たるものなり、故名お呼は尊みなり、然るに漢国にては、人の名お呼お不敬とするは、反の差なり、皇国にても後になりては、人の名お呼お不敬とするは漢のうつりなり、後のならひお以て、古お疑ふことなかれ、〉