[p.0630][p.0631]
御産の規式
小児に名おつくる事
一小児に、おさな名お付る事は、七夜につくる也、名のなき程は、若子とよび、主人の子おば若君とよぶ也、名は父の心にまかせて、何なりとも付らるヽなり、又家により、定りたるおさな名あり、父の方より名お折紙に書て、大刀刀などそへて参らせらる、おさな名は、或は松竹鶴亀などの齢久きもの、又は百千万の多き数、四季の名物などの名おとる事定法なし、おさな名は、何麻呂と名づくる事本也、後に元服して男になりたる時、何太郎、何二郎、何三郎などヽ名お付也、〈源氏は源太郎、平氏は平太郎などヽ雲なり、〉是おえぼし名といふ、其時実名おもつくる也、おさな名、何太郎、何次郎などいふ名おつくるは非なり、