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相州兵乱記

公方管領不和事
永享十年六月、公方〈○足利持氏〉の若公天王丸殿、御元服あるべしとて、御祝儀の用意善尽し美尽せり、管領〈○上杉憲実〉又諌言お以て被申けるは、代々の公方の御元服ありし時、皆京公方へ御使有、一字御申下さる、先規にまかせ御使可有.某が弟にて候上杉三郎重方お罷のぼせさむらはんと被申上けれども、此条曾て御承引なくして、御名字おも則自ら義久と御名乗被申て、彼御祝儀として国人どもお、名字お指て被召ける、