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続修東大寺正倉院文書

天平宝字二年詔書草
勅 天平宝字二年八月一日
従四位下藤原御楯〈本名千尋〉
従五位上藤原真先〈弓取〉
○按ずるに、続修東大寺正倉院文書に載せたる藤原真先、続日本紀に在るものと同人にして、 原名弓取なるお知る、而して続日本紀なる藤原執弓は、位階に就きて之お考ふるに、即ち弓取 にして、ゆみとりと読みしものか、若し当時人名お逆読する例ありとするときは、藤原恵美朝 臣執棹〈続日本紀、天平宝字七年正月壬子等に見ゆ、真先と同じく押勝の男なり、〉の執棹もさおとりと読むべく、〈又中臣朝臣楫取と雲ふあり、同書天平 宝字三年七月庚辰に見ゆ、合せ考ふべし、〉中臣丸連張弓〈続日本紀天平十八年四月癸卯に見ゆ〉道公張弓〈続日本紀宝亀元年四月壬子に見ゆ〉の張弓も ゆみはりと読むべきか、〈尾張宿禰弓張と雲ふ人、続日本紀延暦元年十二月庚戌に見ゆ、〉