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東照宮御実紀附録

甲州士の内にも、山県三郎兵衛昌景が武略忠節は、わきて御心にかなひけるにや、一年本多百助信俊が男子設けしに、兎欠なればとて心に応ぜぬよし聞しめし、そはいとめでたき事なり、信玄が内の山県は大なる兎欠なり、かの魂精の抜出て、当家譜第の本多が子に生れ来りしなるべし、大切に養育すべしと仰付られ、その子の幼名おも本多山県とめされ、台徳院殿〈○徳川秀忠〉の御伽にめし加へらる、