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大鏡
二/太政大臣基経
御おのこヾ四人おはしき、太郎左大臣時平(○)、次郎左大臣仲平(○)、四郎太政大臣忠平(○)といふに、しげきがけしき、ことになりて、まづうしろの人のかほうち見渡して、それぞこのいはゆるおきなが、たからのきみ、貞信公におはしますとて、あふぎうちつかふかほもち、ことにおかし、三郎にあたらせ給ひしは、従三位して、宮内卿兼平(○)の君と申てうせ給ひにき、さるは御母いとあてにおはす、みつよしの式部卿のみこの御むすめにて、かへす〴〵もやむごとなくおはすべかりしかど、この三人の大臣たちお、よの人三平と申き、