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総見記

勢南御出馬所々合戦事同秀吉武勇事
扠も此度木下が働、信長公大に御感のたまひけるは、今日〈○永禄十二年八月二十七日〉藤吉が手お負ながら門お破て責入たる様、誠に古の朝伊名三郎義秀が勇力にも劣るまじき剛の者なりとぞ褒仰られける、藤吉是お忝存ければ、是より頓て義秀の名乗お打返し秀義と名乗る(○○○○○○○○○○○○○○○)、さりながら義の字は、公方様〈○足利義昭〉御諱の字なれば、憚ありとて文字おかへ、木下藤吉郎秀吉と名乗けるは、此時よりの事也けり、