[p.0697]
東照宮御実紀附録
十四
城将確団右衛門直之が、蜂須賀阿波守至鎮が手へ夜討せし時、至鎮が家人稲田九郎兵衛、生年十五歳にて大功ありしかば、御感状お下され、其比近臣へ仰せ有しは、子に名おつくるも心得のあるべき事なり、九郎兵衛はわづか十五なるお、いらぬおとならしき名お付しは、さん〴〵の事なり、何丸(○○)とか何若(○○)とか付ば、今度の働もわきて奇特に聞ゆべきに、おしき事なり、人々もかねて心得置べき事と仰諭されしとぞ、