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栄花物語
二/花山
ことしは天元五年になりぬ、三月十一日、中ぐう〈○藤原頼忠女、円融后藤原遵子、〉たち給はんとて、おほきおとヾ〈○頼忠〉いそぎさわがせ給、これにつけても、右のおとヾ、〈○藤原兼家〉あさましうのみ、よろづきこしめさるヽほどに、きさきたヽせ給ぬ、〈○中略〉一のみこ〈○一条〉おはするにようご〈○兼家女藤原詮子〉おおきながら、かくみこもおはせぬにようごの、きさきにい給ひねること、やすからぬことに、世人なやみ申て、すばらのきさきとぞつけたてまつりたりける、