[p.0711]
十訓抄

詩歌につけて、異名などつけらるヽ事有、治部脚能俊は、白州院鳥羽殿の御会に月のなかなる月おこそ見れとよみて、天変の少将といはれけり、中納言親経卿は、鳥羽殿詩歌合に、月自家山送我来と作て、山送の弁とぞ付られける、かやうの事、能可心得、同異名なれども、さむるうつつの少将、待宵の小侍従など付られたるは、優に覚ゆかし、