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十訓抄

京極太政大臣宗輔公は、蜂おいくら共なく飼給て、何丸か丸と名お付てよび給ければ、召に随て、格勤者などお勘当し給けるには、何丸、某さしてことの給ければ、其まヽにぞふるまひける、出仕の時は、車のうらうへの物見にはらめきけるお、とまれとの給ければ、とまりけり、世には蜂飼の大臣とぞ申ける、不思議の徳おはしける人也、