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鳴門中将物語
彼少将は、隠者なりけるお、あらぬかたにつけてめしいだされて、よろづに御なさけおかけられて、近習の人数にくはへられなどして、程なく中将になされにけり、つヽむとすれど、おのづからもれきこえて、人のくちのさがなさは、そのころのもてあつかひにて、なるとの中将(○○○○○○)と申ける、なるとのわかめとて、よきめののぼる所なれば、かヽる異名おつけたりけるとかや、