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年山紀聞

反名
公卿補任雲、大伴宿禰旅人、〈天平二年十月朔、任大納言、改名談等、〉
今按、名おあらためられしとあるは誤なり、族人お、淡等とも、多比等ともかヽれたるは、史お不比等とかき、馬飼お宇合など書れたる類にて反名なり、此反名の事、その比はやりたりと見ゆ、万葉第五、天平元年十月七日に、大伴淡等謹状とあり、〈二年と元年の字にも心おつくべし〉そのうへ続日本紀聖武紀に、旅人薨とあれば、始終あらためられぬ事明らかなり、反名といふ事お知らぬ人の所為なるべし、又安積覚〈字覚兵衛〉より文の次で、中古にも、紀長谷雄お発昭とかき、三善清行お居逸と書申されて候、